Lens Impression
レンズ改造で世界的に有名は宮崎氏の主宰するMS-Optical R&Dが計画した「マイクロ3/4」専用の大口径標準レンズ「25mmf1.1」の試作品です。
残念なことに、このレンズ開発計画は試作段階で、氏の満足するレンズ性能が得られないことが判明したために、現在は中止されています。今回は氏の特別な許可をいただき、作例を紹介させていただきます。
まずレンズ外観ですが、レンズ単体ではまるでUFOを思わせるような台形のシンプルな形に好感が持てます。その中心にはf1.1という明るさを誇るかのような大きなフロントレンズが輝きます。一方で、このシンプルな外観のため、絞り・フォーカスリングなどの使い勝手は今ひとつです。無論製品化に当たってはさらに工夫される予定であったと氏は言っておりました。さて、GF1に装着すると、その素晴らしい一体感に驚きます。個人的感想ですが、GF1の現時点での純正標準パンケーキ20mmレンズの数倍上を行くフィット感だと思います。このLUMIX
GF1及びG1には、他にもXenon 25mmf0.95や、SOM Berthiot Cinor 25mmf0.95(黒レンズ)など、非常にデザイン的にマッチするレンズがいくつか存在しますが、このレンズとの一体感はその上を行っていると思われます。
さて、レンズの描写ですが、特徴をいくつか箇条書きします。
@周辺光量が不足傾向です。特に絞った時に四隅が欠ける傾向が顕著ですが、それ以外でも中心部と周辺部の明るさには差があります。
Aピントあわせはかなり難しいですが、中心部はシャープです。
B中心部を僅か外れたところから、徐々にコマ収差が発生し、周辺ではかなり強く出ています。これがハイライト部分の滲み感を強くしているようです。
C非点収差は作例からはあまり目立ちません。従ってぐるぐるボケは少ないようです。
私の保有する他のオールドレンズから見ると、作例を見ても十分な描写をしてくれておりますが、やはり近代レンズの基準では量産化には厳しいのでしょうか。マイクロ3/4マウントの開発は最近まで投売り状態であったCマウントレンズに脚光を浴びせました。そのせいかCマウントの大口径レンズは異常ともいえる価格で取引されています。氏の今後の更なる改良により、十分に高性能で大口径のマイクロ3/4レンズが世に出てくることを切に希望したいと思います。
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